昨日久しぶりに葛飾区郷土と天文の博物館で行われている星の講演会に行ってきました。最近、星の講演会の開始時刻が夜 7時になり、1時間かけて東京を横断する身としてはさすがに毎回出席するのは難しくなったので、どうしても聞きたい講演だけ参加することにしています。▼
で、今回は今年が世界天文年なので、元ハワイ天文台長でいらっしゃる海部先生を招いて「宇宙を探る~ガリレオから400年~」。これは行かずにはいられません。(^ ^;▽
しかし 400年の天文の歴史を 90分で振り返るというのはかなりチャレンジング。海部先生はまずガリレオの話から。今年はガリレオが自作の口径 4cmの望遠鏡で夜空を見上げてからちょうど 400年 (1609年11月)。それを記念して世界天文年が制定されました。この自作の望遠鏡でガリレオが見たのは、水晶ではなく地球のように山がある月面、水の流れる川ではなく数え切れない星々が集まった天の川、衛星を持った木星、満ち欠けする金星、太陽黒点が太陽の雲ではなく表面上にある点であり、太陽が自転していることなど、彼の日々の発見と驚きは想像を絶するものだったと思います。まさに寝る間も惜しかったのではないでしょうか。羨ましいかぎりです。▽
夜空をもっとよく見たいという思いはものすごい勢いで望遠鏡の技術を推し進めていきましたが、宇宙の真理を追究する科学としての天文学は 20世紀に入ってからさらに目覚しい発展を遂げます。きっかけはハッブルによるハッブルの法則の発見。つまり遠い天体 (銀河) ほど速く遠ざかっているという事実。これはアインシュタインの話でもよく出てくるので、皆さんもご存知でしょう。そしてアインシュタインが予言した重力レンズ効果。重力レンズ効果は天体の正確な位置を知るためだけでなく、最近ではダークマターの分布の計算に使われるまでになりました。ダークマター、それは現在の人類の技術ではまだ観測できない物質ですが、天体の物理的な動きなどを説明する上で理論的に導き出されたものですが、その存在はもう疑う余地はありません。現在人類が観測できる宇宙、つまり人類が知っている元素は宇宙全体の 4%でしかなく、残りの 96%の宇宙は人類はまだ知らないのです。銀河など天体をつなぎとめる力となっているダークマター、そして宇宙の膨張を加速させる力となっているダークエネルギー。宇宙って広大ですね。。。▽
ダークマター、ダークエネルギーの話は僕が最も興味を持っている話題なので、ここで書き始めるときりがないので、海部先生の講演に戻ります。(^ ^; 海部先生は続いて太陽系外の惑星観測についてお話されました。1995年から徐々に系外惑星の発見が続き、現在では 300を超える系外惑星が知られていますが、まだ直接観測されるまでには至っていません。恒星の動きのわずかな揺れをドップラー効果で検出する方法から、最近では恒星を惑星が横切る時に恒星の明るさが変化することを利用したトランジット法へと観測方法も進化してきているようです。▽
系外惑星を直接観測できるのも時間の問題となってきています。2011年には本格稼動が期待される、南米チリの標高 5,000m に建設中のアタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計 (ALMA)。先日日本から最初のアンテナが運び込まれたと聞いています。数年後には惑星の発見だけではなく、生物や文明の発見までもが現実的な話になってきています。海部先生のお話で大変興味深かったのは、このような生物の存在を観測する方法もすでに考えられていること。キーはオゾンの有無の観測。オゾンは酸素が分解して作られるものであり、その酸素は天体活動の過程では作り出されないものです。つまり酸素はバクテリアをはじめとする生物が作り出すもの。よって惑星の観測でオゾンが観測されれれば、そこには酸素があり、生物が存在するということ。これはとても興味深い。▽
しかし何光年、何万光年も先の惑星に生物の可能性を発見しても、人類がそこにたどり着く技術はまだしばらく実現されそうにありません。そこに移動するまでの時間の短縮だけでなく、太陽系外の強力な宇宙線から生物を守る技術も必要です。これから 100年、数百年後に人類がこの広大な宇宙を飛びまわれる時代がくることを想像するとワクワクしますね。また、人類が電波を使い始めておよそ 70年。つまり人類が放った電波は現在 70光年先の宇宙空間にまで達しているはず。もし半径 70光年の空間の中に文明を持った生物がいたら、今頃大変な騒ぎになっているかも。。。夢は膨らみます。▽
海部先生は最後に世界天文年の今年に日本をはじめとする全世界で予定されている様々なイベントについてご紹介くださいました。自分もなんらかの形でこれらのイベントに携わりたいものです。世界天文年にかんする情報はこちら: http://www.astronomy2009.jp/。▼
さて、次回の星の講演会は 2月21日(土) 19:00~20:30、「来週、宇宙に行ってきます!~宇宙旅行から宇宙での衣食住遊まで~」。宇宙旅行も一般の人が行けるようになるのは時間の問題と言われています。宇宙旅行はどういうものなのか、宇宙ビジネスコンサルタントの大貫 美鈴氏を講師に迎えての講演。う~ん、土曜日とはいえ夜 7時からだと帰宅するのは夜 10時になってしまうので、次回は残念ながらパスしますが、興味のある方は星の講演会のページを週に一回くらいチェックして募集の案内をみてください。